保証債務を履行するため資産の譲渡(譲渡所得の対象となる借地権の設定を含みます。)があった場合において、その履行に伴う求償権の全部または一部を行使することができないこととなったとき、その行使することができないこととなった金額に対応する部分の金額は、譲渡所得の金額の計算上譲渡がなかったものとみなされます(所法64 2.)。

この保証債務を履行するために資産の譲渡があった場合とは、原則として、資産を譲渡した後、その譲渡代金により保証債務の履行がなされる場合をいい、履行後に資産を譲渡した場合はこれに該当しません。 しかし、資産の買手がなかなか見つからない場合などのように、資産の譲渡により保証債務の履行が先行する場合も少なくありません。

そこで、借入金を返済するための資産の譲渡が、保証債務を履行した日からおおむね1年以内に行われているなど、実質的に保証債務を履行するためのものであると認められるときは、保証債務を履行するために資産の譲渡があった場合に該当するものとして取り扱われています(基通64-5)。